■
坂出アートプロジェクト2016秋会期 (2016年10月8日〜11月6日)において作品を出展しました。
以下、その記録集用に書いた文章です。坂出人工土地という特殊な複層建築物の存在を前提としたアートイベントであり、作品であるということをお含みおき下さい。
※坂出人工土地についてはこちらの記事がわかりやすく面白いと思います↓
作家名
津村ユキヲ
作品タイトル
「concrete gestation (懐胎)」
解説文
「巨大でいびつなコンクリート構造体「人工土地」。この無機物なマトリクスには、やがて人の生とともに有機物たる植物が侵食し増殖し混沌を形成するに至った。まるでこの無機たるコンクリートからも生命が生まれるかの如く、混交はやがて幻想の生命と化し、卵塊は無数に生じ孵化し、気化したか紛れたか、そこにいるのか、生まれたものはいったいナニであるのか、それは千年後に測られる。」
このテキストを作品に添えました。
人工土地という巨大建造物から、コンクリートで出来た卵が、巨樹と共にVaginal orifice から排卵され、無数の卵から人やモノの「想い」が孵化しているという様子を表現しています。
象徴的なガジェットに言葉を添えることで、SFやファンタジー的な夢想を呼ぶものになったのではないかと思います。
展示期間の後半、卵の一部からラヴェンダーなどの花が育ち咲きみだれるという展開を加えました。無機物であった人工土地というマトリクスが緑覆うカオシックな空間になっていることの相似形として、この作品も最終的に植物の生命溢れるものとなりました。
展示期間後半の変化。
作品は「人工土地」という文明遺産の付属物であり一時のデコレーションにすぎなかった。ひと時の幻視を楽しんでいただけた人がいたなら幸い。